2022年2月10日

2021年 第2回(第5期) 脳科学将来構想委員会

【2021年第2回(第5期) 脳科学将来構想委員会 議事録】

日時

2021年8月13日(金曜日)10:00~12:00

場所

オンライン会議(Zoom)

出席者

(敬称略)

日本心理学会:梅田 聡
日本精神神経学会:尾崎 紀夫
日本生物学的精神医学会:(加藤 忠史 途中退席)、池田 匡志
日本磁気共鳴医学会:阿部 修、田岡 俊昭
日本神経化学会:小泉 修一、田中 謙二
日本神経科学学会:(柚﨑 通介)、宮川 剛
日本神経回路学会:田中 沙織
日本神経学会:勝野 雅央
日本神経精神薬理学会:池田 和隆、喜田 聡
日本神経放射線学会:山田 惠
日本生理学会:礒村 宜和、渡辺 賢
日本臨床神経生理学会:後藤 純信
理化学研究所:村山 正宜
NCNP:岩坪 威
自然科学研究機構:磯田 昌岐
AMED 革新脳:大塚 稔久
CREST:和氣 弘明
新学術領域:林(高木) 朗子
脳科連:伊佐 正、花川 隆

議事

1.脳科連・脳科連将来構想委員会の紹介
脳科学学会連合について伊佐代表より簡潔に説明があった。

2.参加各学会の将来構想について
・参加各学会の将来構想について一学会5分ほどで説明
(要約)
日本心理学会:こころの科学として主観性を重視することが特徴(心理学に限った問題ではないが)再現性問題についても学会を挙げて取り組んでいる。
日本精神神経学会:レジストリ研究・非競争フェイズでの協力促進、ゲノム情報を起点とする精神疾患の病態解明と医療、AIの活用。
日本生物学的精神医学会:臨床的観点を重視した精神疾患の病態解明、80%程度が臨床医、若手からの次世代リーダー育成に組織的に取り組んでいるのが特徴(屋根瓦式)。
日本磁気共鳴医学会:全身臓器を扱うが脳・神経系の研究は盛ん。学会が募集し学会内の研究提案に対する予算的サポートを行っている(ISMRMのカウンターパートは別にある)。
日本神経化学会:基礎、神経、精神から参加があり、分子と疾患の関係を中心に扱う。ほかにグリアや幹細胞など。認知症等の克服を目指す出口が明確であればあるほど基礎研究に対する支援が必要ではないか?
日本神経科学学会:日本を代表する脳科学の学会として(IBROのカウンターパート)今後10-20年で何をやるべきかを若手も含めて皆で考える企画を行っている。
日本神経回路学会:計算論的神経科学(500人ほど)、学会誌は海外学会と合同でIF>8。脳科学と情報科学との境界領域として、理論研究・モデル研究をするとともに、脳科学データベースの活用を推進する。
日本神経学会:以前は治療できなかった神経疾患が、日本からの治療法の提案も含めて治せる科になってきている。基礎と臨床の間の循環型トランスレーション研究、マルチモーダル疾患マーカーの開発、発症前介入などに力を入れていきたい。
日本神経精神薬理学会:精神病態解明における基礎と臨床の連携を推進。リバーストランスレーショナル研究、薬剤効果の個別化予測、基礎からは臨床ニーズの把握の必要性など。
日本神経放射線学会:海外学会と雑誌を共同発行している。
日本⽣理学会:歴史のある学会だが学会員の減少や高齢化で難しい局面にある。
日本臨床神経⽣理学会:多領域・業種連携。臨床検査やリハビリテーションからの参画もあってわずかながら学会は成長している。複合領域の融合を進める。
理化学研究所:原点に回帰し、脳機能の包括的な理解に向けた統合的脳科学研究を推進。データ駆動型脳科学の推進に向けてハブの役割。モデル動物開発、技術開発(透明化、大視野顕微鏡、TissueCyte)。
AMED:脳とこころの研究推進プログラムの説明。
新学術領域:挑戦的な領域は延長のオプションが必要、研究リソースの共有化(先端バイオイメージングなど)が進んできたが継続性が明確でない(文科省としては継続の方針だが、明確でない)。

3.脳科学学会連合によるサウンドネス重視オンラインオンリージャーナルの発行構想
 1.脳科連加盟学会合同オープンアクセスジャーナルの創設の提案
① 脳科連で、サウンドネス基準を採⽤し、オープンサイエンスを志向するジャーナルを創設してはどうか。
② 現在、学会誌の運営をしていない学会、あるいは学会誌の運営が必ずしも順調ではない学会、既にサウンドネス重視ジャーナルを有する学会が合併する構想。
③ 現在、学会誌を運営しているが、⾼IF をめざし、サウンドネス基準を採⽤していないような 場合(例えば、⽇本神経科学学会の Neuroscience Research、精神神経学会の PCN など)でも、この 合同ジャーナルはサウンドネス基準/オープンアクセスのジャーナルという⼤幅に異なる役割が想定されているので、全ての加盟学会に参加を呼びかける。
④ 合同ジャーナルでは、各学会担当のセクションを設け、その学会が独⽴性をある程度もちながらそのセ クションを運営できるようにする(そのセクションのエディターの⼈選はその学会が担当する、セクション独⾃の賞を設ける、など)。
⑤ ⽇本の出版社に担ってもらうことが本来は望ましいが、現状では良い出版社はない。J-STAGE では、 各種のサービスのクオリティに問題がある。そこで、当初は欧⽶の⼤⼿出版社(Wiley 社や Springer Nature 社など)と契約を⾏うが、⼀定期間の契約後は他の出版社に移ることのできる契約としておき、平⾏して⽇本で学術出版を担うことのできる企業を模索する。
⑥ ⾼額なArticle Processing Charge(APC)が問題となるが、研究費の取得ができていない場合など経済的事情を考慮し、APC補助の申請を可能とし、審査により補助がなされるようにする。
⑦ APCを安価に設定できるようにするため、国の補助の取得をめざす。成果公開促進のための科研費取 得も含め、スケールメリットがあるので、交渉も各学会が⾏うよりも容易になると期待される。
⑧ Neuropsychopharmacology Reports がリニューアル初年度から⿊字であったことから、参画学会の⾦銭的負担はないと⾒込まれる。

次会評議委員会の審議事項とすることに特に反対の意見は出なかった。

以 上