2022年6月27日

2022年 第2回 脳科学将来構想委員会

【2022年第2回 脳科学将来構想委員会 議事録】

日時

2022年6月5日(日曜日)10:00~12:00

場所

オンライン会議(Zoom)

出席委員:阿部 修、池田 和隆(副委員長)、磯田 昌岐、礒村 宜和、岩坪 威、梅田 聡、大塚 稔久、尾崎 紀夫、勝野 雅央(副委員長)、加藤 忠史、田中 沙織、花川 隆(委員長)、林 朗子、村山 正宜、柚﨑 通介、和氣 弘明
欠席委員:小泉 修一
オブザーバー:伊佐 正(脳科連代表)

議事

1.趣旨説明
革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト(革新脳)と戦略的国際脳科学研究推進プログラム(国際脳)が2023年度末で終了する。ポスト革新脳・国際脳事業についての議論が、文部科学省ライフサイエンス委員会・脳科学作業部会において始まっている。脳科学関連学会連合として秋ごろに意見を述べる機会が想定されているので、将来構想委員会として提案をまとめたい。それまでにワーキンググループ(WG)に分かれて作業することを提案する。また、同じ頃に参加各学会から意見聴取する機会(拡大将来構想委員会)を設定したい。9月中にはポスト国際脳・革新脳事業について提案を取りまとめることを目指したい。脳とこころの研究推進プログラムとしては、革新脳、国際脳の他に精神・神経疾患メカニズム解明プロジェクト(疾患メカ)と領域横断かつ萌芽的脳研究プロジェクト(横断萌芽)も実施されているが、疾患メカと横断萌芽も2026年度末で終了する。脳とこころの研究推進プログラム自体は2029年度まで予定されているため、今回少なくとも2029年度末までの脳・神経科学推進のための青写真を描いておくことが望ましい。また5年ごとに刷新される健康・医療戦略は2025年度に改訂される予定で、2024年度中には次期戦略における脳・神経科学関連の方向性が議論される点も留意しておくことが必要である。さらに日本学術会議の学術研究の大型プロジェクト「未来の学術振興構想(仮)」(旧マスタープラン)は、2022年12月ごろの公募締切が予定されている。そのタイミングに合わせた提案書作成も必要であろう。今期の委員会が重視している脳科連会員学会とのリンクを強化するために、拡大将来構想委員会を開催する。また、各会員学会独自の取り組み、例えば神経科学学会の神経科学の発展のための大討論会における議論の機会なども積極的に利用する方向で考える。

2.神経科学領域に対する大型予算措置の現状について代表及び各担当委員より説明。
(1)ムーンショット
(2)新学術領域・学術変革
(3)CREST
(4)AMED

3.ポスト革新脳・国際脳事業について
革新脳と国際脳はAMED脳とこころの研究推進プログラム(脳プロ)として推進されている。AMEDのミッションを踏まえた事業提案が必要だろう。また、脳プロは、疾患基礎研究PJに属する精神・神経疾患研究、老年医学・認知症や難病とも密接に関係するため、脳プロ以外の脳関係の研究の把握が望ましいが、このうち厚労省系の事業の把握は容易ではない。少なくとも脳プロがカバーしている疾患メカ(分子病態)、横断萌芽(他分野連携、若手育成)、そして特に革新脳(マーモセットの神経回路網羅的マップ作成とデータベース化、疾患モデル動物作成と研究、新技術開発)、および国際脳(ヒト疾患コホート研究とデータベース化、神経回路の種間比較、人工知能)の事業内容をよく踏まえる必要があるだろう。現在の革新脳中核機関である理研CBS、国際脳の中核機関である生理研と国立精神・神経医療研究センターの事業も考慮しておく必要がある。
科学者の集合体としての自由な発想に基づく提案が基本となるが、全ての学会の意向を全て取り入れると総花的になってしまう。ポスト革新脳・国際脳としてエッジの効いたかつ実現可能な提案を作成するためのポイントは、AMEDのミッションを踏まえ、理研CBSのリソース活用協働提案とのマッチングを考慮し、革新脳・国際脳事業の適切な総括と分析を踏まえた発展的提案を行うことが基本となるだろう。一方で、疾患メカおよび横断萌芽の後継プロジェクトや、ポストマスタープランには各会員学会の意見をできるだけ取り込むべき。具体的な作業のため、モデル動物(革新脳)、臨床コホート(国際脳)、モデル動物とヒトを繋ぐ(神経回路・データベース・AI)、新技術開発(革新脳・未来の学術振興構想)および神経科学SDG(未来の学術振興構想)の5つのWGを作成する。議論の末、下記のようにWGの構成が決まった(下線がWGリーダー)。
・モデル動物WG(池田副委員長、磯田委員、花川委員長)
・臨床コホートWG(岩坪委員、尾崎委員、勝野副委員長)
・モデル動物とヒトを繋ぐWG(大塚委員、田中委員、花川委員長、柚崎委員)
・新技術開発WG(阿部委員、磯村委員、林委員、村山委員、和気委員)
・神経科学SDG WG(梅田委員、加藤委員、小泉委員、花川委員長、柚崎委員)
リーダーの音頭取りで作業に着手する。各WGのメンバーが必ずしも革新脳・国際脳でどのような事業が行われているかを把握しているわけではないため、適宜事情を知っている委員会内外の研究者から情報提供を得ることが望ましい。そのためには委員長が調整を行う。

以 上