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脳科連バイマンスリーメールマガジン 2020年11月号(No.3)
http://www.brainscience-union.jp
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日本脳科学関連学会連合会員学会及び評議員の皆さま

バイマンスリーメールマガジン11月号(No.3)をお届けします。
お手数ですが、貴学会内の会員の皆さまへのメール配信をお願い致します。

❏今号のコンテンツ
・山脇前代表・尾藤前将来構想委員長からの寄稿
・第2回リレーエッセイ
・活動報告(10〜11月)
・広報委員会からのお知らせ
・事務局だより


【山脇前代表からの寄稿】
<コロナ禍と脳科学>
新型コロナ感染が再拡大しており、研究・教育・診療へのさらなる影響が心配されます。感染収束のために、検査体制の充実、ワクチン開発、デジタル化を踏まえた3密回避のためのリモートワークや遠隔診療などが加速し、これらに対するアカデミーへの協力要請が高まっています。
脳科連もこの人類の危機に対して貢献する必要があると思います。
その一例ですが、脳科連は本年6月25日に緊急提言「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係るメンタルヘルス危機とその脳科学に基づく対策の必要性」 http://www.brainscience-union.jp/teigenを発出しました。

残念ながら提言の予想通り、感染不安、外出自粛、経済不安などで国民のメンタルヘルスは悪化し、うつ病、依存症、DVなどの増加が報道されています。
自殺者は減少傾向にありましたが、7月以降増加に転じ、特に女性での増加が顕著になっています。失業率と自殺者数は相関することはすでに報告されていますが、経済不況(倒産など)に伴う自殺者の増加が懸念されます。

メンタルヘルス問題以外にも、脳科学やAIを活用した感染予防対策、ソーシャルディスタンスを踏まえた職場や学校でのコミュニケーションツール開発など、脳科連が貢献できる社会課題はたくさんあると思いますので、脳科学領域の基礎、臨床、計算科学の研究者が結集して、国民が心身ともに健全でこのコロナ禍を乗り切れるべく知恵を出し合い、社会貢献できるような活動を推進していただければと願っています。

山脇成人(前代表、日本神経精神薬理学会)


【尾藤前将来構想委員長からの寄稿】
第4期脳科学将来構想委員会の活動報告
脳科学将来構想委員会 前委員長
日本神経化学会(https://www.neurochemistry.jp/)副理事長
尾藤晴彦(東京大・院医・神経生化学)

皆様、いかがお過ごしでしょうか。
コロナ禍でリスク回避するという共通課題に全員で立ち向かうようになって半年以上が経ちました。家族・研究グループあるいはご自身の健康を第一に仕事フローを再設計し、日常生活での自他の動線を常に意識しておられるのではないでしょうか。ともすれば積極性が完全に潜まり、怯えながら外部情報に振り回されるばかりの事態となりかねません。その中で、日常の研究における自発的好奇心を失わず、そして一歩踏み出す勇気を鼓舞しておられる毎日ではないかと存じます。

本題に戻りますが、本稿では、小生が担当しましたこの第4期脳科学将来構想委員会(2018-2020)での活動について述べさせていただきたいと思います。
脳科学将来構想委員会は、脳科連代表の下で実務に当たる運営委員会と両輪をなしております。その役割は、主に脳科学研究の将来像や今後に設定解決すべき課題群についての討議や、タイムリーな提言取りまとめなどを担っています。

小生は第4期委員長として2018年10月より活動を開始し、先だってその活動を終了致しました。第4期委員会で重要視したのは、脳に関する基礎科学から臨床医学までを支える脳科連という原点を忘れないことです。
延べ11万人以上の学会員を擁する30以上の基礎・臨床の学会から構成される学会連合ですので、個別の学会でなく、日本の脳科学が基礎も臨床も確実に向上する「道」について考えていくことをミッションとしました。

この実現のため、前連合代表の山脇成人先生と密にご相談し、さらに過去の委員長にもアドバイスを頂戴し、1)第3期より継続して取り組んでいるマスタープラン計画の推進、2)精密医療の一翼を担う精神・疾患ゲノムに関する提言、3)臨床データべースとAIを用いた解析とこれに関する産学連携推進についての提言、4)20年後,50年後の脳科学ビジョンの策定、の4点を行動目標と致しました。この2年間にそれぞれの目標に向かってご尽力いただいた各委員の皆様に改めて心から御礼申し上げます。

それぞれの目標について、具体的な活動とその成果については、
脳科連ホームページをご覧下さい
http://www.brainscience-union.jp/2020-06-29/1857.html

昨年11月に、脳科学委員会の下の作業部会で、当委員会での議論に基づく提案を発表させていただき、今後の脳科学研究での諸プログラム策定において、論点整理として一定の効果があったのではないか、と考えております。
しかし、より長期のビジョンを議論する時期にコロナ禍となり、侃々諤々、口角泡を飛ばす議論をする機会を失ってしまったのは、残念です。

第5期委員会に引き継げる議論は引き続き、さらに深めていただければと願っております。当委員会に対する各学会のこれまでのご高配に改めて感謝致しますとともに、これからのご支援をも宜しくお願い致します。


【第2回リレーエッセイ】
日本睡眠学会 https://jssr.jp
理事長 内山 真 (文責 勢井宏義(理事))

日本神経内分泌学会からバトンを受けて、今回は、日本睡眠学会からのエッセイです。

今年はCOVID-19のため、外出自粛を余儀なくされ、旅行やスポーツなど、人々の活動は制限されています。
その間、睡眠や生活リズムが崩れてしまった、という方も多いのではないでしょうか?
睡眠や生活リズムを整えることが心身の健康を保つために重要であることは、近年、科学的に明らかになっています。
一方、睡眠は、「睡眠医学」のみならず、社会経済問題からみた「睡眠社会学」、 および睡眠の役割やメカニズムを研究する「睡眠科学」の3つの切り口から取り扱っていく必要があり、これら3つをまとめて「睡眠学」という新しい学問体系が成立しつつあります。
この睡眠学を実践・発展させていくのが、日本睡眠学会の使命です。
そのため、学会員の専門は、医学や歯学に留まらず、心理学、工学、社会学、教育学など多岐にわたります。

学会機関誌として、国際誌Sleep and Biological Rhythmsが2003年の発刊から18巻を数えています。
アジア・太平洋における中心的専門誌として、各国睡眠関連学会からも期待を集めています。

日本睡眠学会では、専門医・専門歯科医や専門検査技師などの認定制度を整備し、睡眠医療の質の保障と向上に努めています。
また、サマータイム導入に対する声明に代表されるように、学会から社会へのタイムリーな情報発信も積極的に実践しています。
今後、with(post)コロナの時代において、日本睡眠学会への社会的ニーズがより大きくなるのではないかと予想され、気持ちを新たにしています。

感染症や環境問題など、グローバルな課題がいい方向へ向かうことを願いながら、日本脳科学関連学会連合の益々の発展を祈念いたします。

次回のリレーエッセイは小泉修一運営委員(日本神経化学会)にバトンタッチされます。


【活動報告(10~11月)】
・内規がWebに掲載されました。(広報委員選出等、選挙管理委員選出等)
・広報委員会のページが新設され、メールマガジンがWebに掲載されました。
バックナンバーをご確認いただくことが可能です。
・第16回評議員会の議事要録がWebに掲載されました。
・パンフレットが更新されました。デジタル版(PDF)をWebでご確認いただけます。
・第22回運営委員会(メール審議)が開催されています。
・第17回評議員会(メール審議)が12月に予定されています。
・奥村コーディネーター及び事務局で、脳科学オリンピック寄附金の会計業務
(2020.4.1-2020.12.31分)の委託を準備しています。
整いましたら12月以降の評議員会(メール審議)でご審議いただく予定です。


【広報委員会からのお知らせ】
・次号のメールマガジン(No.4)は1月下旬の発信を予定しています。
・本連合のWebページにサイトポリシーが設置される予定です。
・脳科学豆知識:このコーナーは脳科学に関して一般の方向けに分かりやすく解説しています。第19回目が掲載されました。
網膜について宝田美佳先生(金沢大学医薬保健研究域医学系神経解剖学講座・日本解剖学会、日本神経化学会、日本神経科学学会、日本薬理学会)にご寄稿いただきました。
URL:http://www.brainscience-union.jp/trivia/trivia2217
次回の豆知識の寄稿は、牧之段学 先生(奈良県立医科大学・日本精神神経学会、日本生物学的精神医学会、日本神経科学学会、日本神経化学会、日本神経精神薬理学会 ) にバトンタッチされます。


【事務局だより(主に会員学会事務局向け)】
・日本アルコール・アディクション医学会の理事長は、藤宮龍也先生(山口大学 法医学)から宮田久嗣先生(東京慈恵会医科大学 精神医学講座)に代わられました。
・脳科学オリンピックの寄附金を12月4日まで募集中です。
詳細は9月29日に配信されましたメーリングリストにてご確認ください。
・メールマガジン内容へのご意見やお問い合わせは、貴学会の事務局経由で以下までお願いします。

❏日本脳科学関連学会連合事務局