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脳科連バイマンスリーメールマガジン 2021年3月号(No.5)
http://www.brainscience-union.jp
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日本脳科学関連学会連合会員学会及び評議員の皆さま

バイマンスリーメールマガジン3月号(No.5)をお届けします。
お手数ですが、貴学会内の会員の皆さまへのメール配信をお願い致します。

❏今号のコンテンツ
・令和3年度の脳研究関連予算について
・第4回リレーエッセイ:
・活動報告(2〜3月)
・広報委員会からのお知らせ
・事務局だより

 

【令和3年度の脳研究関連予算について】
日本脳科学関連学会連合 代表補佐
玉川大学脳科学研究所 松田哲也

令和3年度より文部科学省事業「脳とこころの研究推進プログラム」が
開始されます。脳とこころの研究推進プログラムは、令和11年までの
9年間の事業となっており、これまでの文科省における脳関連事業
【脳科学研究戦略推進プログラム(脳プロ)、革新的技術による
脳機能ネットワーク全容解明プロジェクト(革新脳)、戦略的国際脳科学
研究推進プログラム(国際脳)】ならびに、令和3年度からの新規事業として、
AMEDから公募がありました「精神・神経疾患メカニズム解明プロジェクト」、
「領域横断的かつ萌芽的脳研究プロジェクト」がこのプログラムに結集されます。
これまで研究事業は、それぞれの事業の目的を設定し研究推進を行ってきたため、
事業間の連携や研究戦略の継続性が考慮されにくい構造になっていましたが、
脳とこころの研究推進プログラム新設によりそれらが解消されることになります。

脳とこころの研究推進プログラムは、「精神・神経疾患の病態解明」、
「モデル動物の実用化」、「ヒトを対象とした回路研究」を研究戦略の3つの柱とし、
相互連携させることが考えられています。例えば、ヒトを対象とした回路研究で、
脳疾患ならびに症候に関連する神経回路や特定の機能に関連する神経回路を抽出し、
そこで抽出された神経回路の役割や働きを動物実験等で解明を目指す神経回路研究、
ヒトを対象とした回路研究で抽出された神経回路を動物で操作する技術開発、
または疾患関連遺伝子改変動物の開発といった戦略的モデル動物開発、
さらにこの神経回路研究と戦略的モデル動物開発を活用して脳疾患関連
神経回路の分子メカニズムの解明を行う研究などが考えられます。
今後9年間は、この柱を中心に、脳とこころの研究推進プログラムの目標に則って
事業が展開されることになります。

また、先日文科省から令和3年度の戦略的創造研究推進事業の戦略目標等の
発表がありました*1。脳研究に関連する目標としては、
「ヒトのマルチセンシングネットワークの統合的理解と制御機構の解明」があり、
JSTとAMEDの共通の目標になっております。これまでの戦略目標は、
JSTやAMEDのどちらかの目標として設定されておりましたが、
今回初の試みとして、JSTとAMEDの共通目標として設定されました。
これにより、生体感覚システム・末梢神経ネットワークを中心とした
マルチセンシングシステムのメカニズム解明から医療研究まで、
連続的・統合的に行われる研究プログラムとなる予定です。

今後この戦略目標は、JSTやAMEDのCREST、JSTのさきがけ、
AMEDのPRIMEの事業として公募されることになります。
令和3年度はAMEDから「精神・神経疾患メカニズム解明プロジェクト」、
「領域横断的かつ萌芽的脳研究プロジェクト」、JSTのCRESTとさきがけ、
AMEDのCRESTとPRIMEから「ヒトのマルチセンシングネットワークの
統合的理解と制御機構の解明」が立ち上がる予定です。

コロナ禍で、研究に大きな支障をきたしている先生も多くおられるのではないかと思います。
ただ、我々はこの環境の中でも研究を進めることができる新たな手立てを
考えていかなくてはなりません。
そのために必要な研究環境整備の支援が必要であれば、脳科連としても
積極的に関連省庁等に働きかけていかなければいけないと思っています。

*1(文部科学省ホームページヘ) https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2020/mext_00051.html

 

【第4回リレーエッセイ】
日本神経学会 https://www.neurology-jp.org/
理事長 戸田達史(文責:高橋良輔(理事))

日本神経化学学会からバトンを受けて今回は日本神経学会の紹介です。
日本神経学会は脳神経内科医の学会で9000名を超える会員数がおり、
専門医の数は6000人強となりました。

脳神経内科はNeurologyの和訳で、欧米では大変歴史の古い診療科です。
守備範囲も認知症、脳卒中、頭痛など脳の病気から末梢神経障害や
筋疾患まで扱う疾患の種類が極めて多いのも脳神経内科の特徴です。
日本では明治時代に精神科とともに学会を設立したのですが、
診療科として独立発展できず、一時は沈滞していました。
戦後、内科医が中心となって、精神科から独立して立ち上げたのが
現在の日本神経学会です。そのような歴史から現在専門医制度の上からは
脳神経内科は内科のサブスペシャルティ―という位置づけですが、
将来的には欧米並みに専門医制度の上でも基本領域となることを目指して活動しています。

脳神経内科の扱う疾患にはいわゆる難病が多く含まれており、そのことから
「診断はできても治療できない診療科」というイメージが一昔前まで
付きまとっていました。
しかしこの10-20年ほどで脳卒中の血栓溶解療法や血管内治療、
脊髄性筋萎縮症の核酸医薬、神経免疫疾患の疾患修飾療法など、
これまでの常識を覆すような新薬・新規治療法が続々と登場し、
臨床現場はたいへん活気づいています。

学会員も年々約200名ずつ増加しています。国際化にも力を入れて
おり、2017年には世界神経学会(World Congress of Neurology)を
京都で開催し、世界中から8000名以上の参加者を集めました。
年に一度の学術大会の講演も30%以上のプログラムが英語で行われています。
学会誌も英文抄録がPubMEDに掲載されている和文誌「臨床神経学」に加え、
2012年からは英文雑誌Neurology and Clinical Neuroscienceを発行しています。

いっぽう、臨床の診療科でありながら、研究志向の強い会員が多いのも特徴です。
神経疾患の病態解明・治療法開発をめざす基礎研究者から、神経科学の基礎研究に
のめりこんで基礎研究者になってしまう人まで様々な基礎研究を担う人材が
この分野から生まれています。
その意味で脳科連において基礎と臨床を橋渡しするような役割も担えるのでは
ないかと思います。
本学会としてもぜひ脳科学及び脳科学関連学会連合の発展に貢献できるよう
努力していきたいと思います。

 

【活動報告(2~3月)】
・脳科学将来構想委員会の副委員長には、池田和隆委員(東京都医学総合研究所)、
勝野雅央委員(名古屋大学)が任命されました。
・第19回評議員会(メール審議)を開催中です。

 

【広報委員会からのお知らせ】
・次号のメールマガジン(No.6)は5月下旬の発信を予定しています。
・脳科学豆知識:このコーナーは脳科学に関して一般の方向けに分かりやすく
解説しています。
第21回の豆知識は国立精神・神経医療研究センターの熊﨑博一先生による寄稿です。
(所属学会:日本神経心理学会・日本心理学会・公益財団法人日本精神神経学会・日本生物学的精神医学会)
http://www.brainscience-union.jp/trivia/trivia2370
第22回の豆知識は昭和大学発達障害医療研究所の中村元昭先生による寄稿の予定です。
(所属学会:日本精神神経学会・日本臨床神経生理学会・日本神経科学会・日本生物学的精神医学会)

 

【事務局だより(主に会員学会事務局向け)】
・理事長変更のお知らせ

日本神経病理学会の理事長は、村山繁雄先生(東京都健康長寿医療センター)から柿田明美先生(新潟大学脳研究所病理学分野)に代わられました。
日本臨床精神神経薬理学会の理事長は、染矢俊幸先生(新潟大学大学院医歯学総合研究科精神医学分野)から下田和孝先生(獨協医科大学精神神経医学講座)に代わられました。
日本神経回路学会の会長は、阪口豊先生(電気通信大学大学院情報理工学研究科機械知能システム学専攻)から五味裕章先生(日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所)に代わられました。
・評議員の変更がございましたら、随時、日本脳科学関連学会連合事務局までご連絡をお願いいたします。
・将来構想委員会に関するアンケートを行っております。回答期限は5月28日です。
3/25時点で19学会よりご回答いただいております。
既にご回答いただきました学会ご担当者様へ御礼申し上げます。
未回答の学会様につきましてはご回答をお待ちしております。
・2021年の評議員会につきまして、4月より評議員名簿確定、出欠登録などが開始されます。
評議員の出欠登録のサポートにつきましてご協力のほどよろしくお願いいたします。
・メールマガジン内容へのご意見やお問い合わせは、貴学会の事務局経由で以下までお願いします。

❏日本脳科学関連学会連合事務局