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脳科連バイマンスリーメールマガジン 2024年1月号(No.22)
http://www.brainscience-union.jp
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日本脳科学関連学会連合会員学会・連携法人会員及び評議員の皆さま

バイマンスリーメールマガジン2024年1月号(No.22)をお届けします。
お手数ですが、貴学会内の会員の皆さまへのメール配信をお願い致します。
❏今号のコンテンツ
・脳科連この1年の歩み―2024年度にむけて:高橋 良輔 代表
・数学と脳科学の連携に向けたワークショップ報告:中江 健(自然科学研究機構)
・脳科連連携法人本会員のご挨拶文:菊地 哲朗(大塚製薬(株)医薬品事業部)
・第20回リレーエッセイ:池田 学(日本神経心理学会前理事長)
・応用脳科学コンソーシアムの応用脳科学資格検定制度のお知らせ
・活動報告(12月~1月)
・事務局だより

【脳科連この1年の歩み―2024年度にむけて】
日本脳科学関連学会連合 代表 高橋 良輔
脳科連代表の髙橋良輔です。伊佐 正前代表の後を受け、代表に就任してこの1月で1年になりました。伊佐前代表のご発案で設けられた会計幹事と庶務監事にそれぞれ古屋敷智之先生(神戸大学医学研究科)、松井秀彰先生(新潟大学脳研)にご就任いただき、事務を手伝っていただくことで代表の負担は非常に軽減されました。古屋敷先生、松井先生、そして安定感・スピード感抜群の仕事ぶりで前期から事務局を支えていただいている黒住圭子さんと吉田恵理子さんに深謝いたします。
定例事業としては広報委員長の上田陽一先生に産業医大学長の重責にあられながら定期的にメールマガジンを発行していただき、脳科連の活動をタイムリーに会員に伝えることができました。また、奥村 哲脳科学リテラシー委員長に昨年も脳科学オリンピックの実施責任者としてご尽力いただきました。昨年の脳科学オリンピック日本大会に優勝した松柳佳奈さんが脳科連メルマガ11月号に寄稿してくださっていますが、高校生とは思えないような素晴らしいヴィジョンと行動力を示しておられ、脳科学オリンピックの活動は確実にこのような若い優れた才能の発掘に貢献していると感銘を受けました。また産学連携諮問委員会も池田和隆委員長のリーダーシップの下、精力的な活動を展開し、産官学の連携促進に着実な進歩がありました。詳細は池田委員長が11月号のメルマガに寄稿されているので、ご覧ください。
さて、2024年度はいよいよポスト革新脳、ポスト国際脳となる国家プロジェクト「脳神経科学統合プログラム」が始動します。最終的に前年度より4億円増の65億円の予算がつき、日本経済新聞、読売新聞などでも大きくとりあげられ、社会からの大きな期待を背負ってのスタートとなります。すでに中核拠点の公募は終了し、これから個別重点研究課題の公募が始まります。このプログラムの骨子は昨年6月29日にライフサイエンス委員会脳科学作業部会が発表した「今後の脳科学研究の方向性について 中間とりまとめ(案)」に記載されています。脳科連としても議論の過程で代表、前代表、将来構想委員長らが文科省ライフサイエンス課に本プログラムに対する意見を申し上げてきましたので、脳科学コミュニティーの声がよく反映された内容になっていると思います。私も日本神経科学大会や日本認知症学会学術集会のシンポジウムでこのプログラムのコンセプトと概要を紹介する機会がありました。また、この号で中江 健先生から脳科連が共催した「数学と脳科学の連携に向けたワークショップ」についてのご報告が掲載されています。これから公募が予定されている「デジタル脳」への応募の機運を盛り上げるのに役立つことを期待しております。
基礎と臨床、ウェットとドライ、アカデミアと産業界、と様々な次元での連携・融合が有効かつ強力になされるかどうかに我が国の今後の脳神経科学の発展に極めて重要な新プログラムの成否がかかっております。そのためのバックアップを脳科連として行っていきたいと思います。引き続き皆様のご支援、ご指導をよろしくお願い申し上げます。

【数学と脳科学の連携に向けたワークショップ報告】
自然科学研究機構, 生命創成探究センター, 特任准教授
中江 健
ExCELLSの中江健です。今回は2023年12月28日に開催された数学と脳科学の連携に向けたワークショップについて報告させていただきます。このワークショップは来年度から開始されるAMEDの脳神経科学統合プログラムで、デジタル脳の構築を目指すために、数学分野との連携強化のための最初のワークショップとして開催されました。また日本脳科学関連学会連合(脳科連)とマスフォアインダストリープラットフォーム(MfIP)の2つの大きなコミュニティをつなぐ架け橋になったと思います。その中で、短い時間の中での皆様には協力をしていただき大変感謝しております。
主に口頭発表では脳科学と数学側その方の研究発表をしていくというオーソドックスな形になりましたが、口頭発表では質問時間を10分とっていたこともあり、数学、脳科学側から双方の活発な質問が飛び交い、私としても驚きました。また、ポスター発表では数学と脳科学という異なる分野を融合するために必要な議論が数多く見られ今回のワークショップを開催して本当に良かったと感じました。その様子は今回のワークショップの写真としてWebページにアップロードしているので良ければ見てください。
まず脳科連代表の高橋先生が開会の挨拶のあと、口頭発表では、金沢大学の佐藤先生の脳の発生やカラム形成について数理を駆使した研究紹介から始まりました。国際的な共同研究の推進や数学との連携を含めはじめの発表としてふさわしい内容だったと思います。その後は、RIKEN CBSの村山先生の予定でしたが、急遽体調不良で私の方が代打としてマーモセットの全脳モデルについて発表させていただきました。その後に、数学側から坂上先生が流線トポロジカルデータを気象などに応用した研究紹介や、水藤先生が全身の血液流に関する数理モデルを紹介していただきました。お二人共に素晴らしい発表で、私は数学の他分野への応用が難しいかもと思っておりましたが、お二人の発表を聞きその固定観念が完全に払拭されました。
昼食とポスターセッションをはさみ、脳科学側から大泉先生が意識研究、銅谷先生が感覚運動皮質の理論モデル、近添さんがニューラルネットワークを用いた脳活動解析、和氣先生が先進的なホログラフィック顕微鏡を使った計測と操作について発表されました。そして数学側からは鍛冶先生が画像の大域的な特徴量を保存した新しい画像処理のための人工知能の提案と佐伯先生がトポロジーの特異点に注目したデータの可視化方法について発表していただきました。どの発表も素晴らしい内容で、会場から多くの質疑応答が飛び交ったことが印象的でした。最後にMfIPの梶原先生の閉会の挨拶で締めとなりましたが、終わったあとも議論が終わらず、次の懇親会への誘導が大変だったのを記憶しております笑。
当然、懇親会も大きく盛り上がり、伊佐先生の音頭を始めとして、より数学と脳科学の連携を深めるためにまた来年度も定期的に開催したいという話もでてきておりました。今回のワークショップが脳科学、数学双方の連携と発展に寄与する一助となれば私としても大変嬉しい限りです。また私としても今回の機会を逃さず、自身の研究に役立たせるために、MfIP側の協力で数学からの連携できそうな研究者をすで探してもらっており、今度議論予定です。2月中旬ごろに公募が開始予定のAMED脳神経科学統合プログラムの重点課題に向けて、今からでも連携模索のためにこのメルマガを読んでいる皆様も積極的なアクションをとっていただけると私としても大変喜ばしいです。
最後になりましたが、今回の開催に当たり脳科連の高橋先生と黒住さんを始めとした皆様、MfIPの鍛冶先生と田上先生を始めとした皆様には大変お世話になりました。この場をかりて厚く御礼を申し上げます。
開催のWebページ:
https://boatneck-weeder-7b7.notion.site/b86c9ea482b8422695c3d0e02a8148b7?pvs=4

【脳科連連携法人本会員のご挨拶文】
脳科連連携法人本会員 大塚製薬株式会社
菊地 哲朗
私は産学連携諮問委員会(委員長:池田和隆先生、副委員長:萩原一平先生、阿部修先生)に参画させていただき、ワーキンググループ(WG)1.健康・医療戦略対応(グループ長:尾崎紀夫先生)、WG3.バイオマーカー開発制度検討(グループ長:阿部修先生)、WG4.脳科学産学連携基盤関連法制度検討(グループ長:池田和隆先生)及びWG5. 製薬協会員会社脳科学連携(グループ長:石山健夫先生)に所属させていただいております。それぞれのWGにおいて、専門性の高い先生方のご助言をいただきながら製薬会社の研究員としてサポートできることは何であるかを常に考え、活動させていただいております。微力ながら、今後もWGの先生方と連携しながら出来ることはさせていただきたいと考えております。
私は獣医学科薬理学講座の出身で1980年に大塚製薬株式会社に入社し、精神・神経疾患の創薬研究を行って参りました。この間、ドパミンD2受容体パーシャルアゴニスト系抗精神病薬アリピプラゾールとブレクスピプラゾールの創薬に関わることが出来ました。過去の創薬研究を振り返ってみると、新しい薬剤の登場は、一見偶然性が高いように見えますが、そうではなく、そこには現象を正確に捉えるサイエンスの“眼”と、現象を発展させる柔軟な、かつ論理的な“思考”と、結果を求めてたゆまず研究を持続させる“精神”が融合した必然性があったのではと感じています。現在も、新しい創薬をするための創薬プロジェクトのリーダーを拝命しており、今後も患者さんに対して新たな価値を提供できる薬剤を目指して創薬研究に邁進したいと思っています。
今後とも、ご指導の程、何卒宜しくお願い申し上げます。

【第20回リレーエッセイ】
日本神経心理学会前理事長 池田 学
日本神経回路学会の銅谷賢治先生からバトンを受け取りました。昨秋、日本神経心理学会の理事長を鈴木匡子先生に引き継ぎましたので、前理事長の立場で、同学会の紹介をさせていただきます。
本学会は1978年に「神経心理懇話会」として脳神経内科医、精神科医を中心に発足し、1982年に現在の「日本神経心理学会」となりました。1978年の第1回の学術集会は、東京大学の豊倉康夫先生を会長に東京で開催されています。1985年5月には学会誌「神経心理学」が創刊され(初代の理事長である京都大学の大橋博司先生が編集委員長を兼任)、現在まで年4回の季刊誌として発行を続けています。これまでの半世紀近いあゆみのなかで、医師、言語聴覚士、作業療法士など医療関係者だけでなく、神経科学、心理学、言語学などさまざまな領域からの参画を得て、研究の範囲は広がってきました。現在の会員数は、約1,600名です。
神経心理学は、脳損傷における認知、行動、感情、思考、さらには自我意識などといった人の心の変化と脳との関係を探って、心の働きと脳の関連を知り、診断や治療につなげる学問領域です.脳の損傷をひきおこす全ての病態が対象となり、脳血管障害、神経変性疾患、脳挫傷、脳腫瘍、てんかんをはじめ、近年では発達障害などにも応用されています.私が学会に入会した頃の研究対象は、多くが脳血管障害の患者さんでしたが、現在は認知症や発達障害、さらには脳機能ネットワークなどにも研究領域に広がっています。また、進歩が著しい脳画像や神経生理学的手法と神経心理学を結びつけることにより、脳のしくみを解明する神経科学にも大きく貢献しています。
欧米では、このような研究分野の担い手の多くは(一部臨床医は含まれているものの)医師以外の専門職であるNeuropsychologistと呼ばれる専門職です。例えば、アメリカでの資格認定は、The American Board of Clinical Neuropsychologyが担っており、資格試験の受験申請時において、心理学の博士号、臨床実習、学位取得後の臨床現場での就労などを求めています。日本でも、神経心理学を現場で実践できる臨床家や指導者、研究者を育てるため、2019年に日本高次脳機能障害学会(現 日本高次脳機能学会)と共同で臨床神経心理士の制度を立ち上げ、現時点で504名の臨床神経心理士が認定されています。内訳は、言語聴覚士が63%、公認心理師が15%、作業療法士が12%、医師が8%、理学療法士が1%となっています。
国際交流にも力を入れており、日本高次脳機能学会とともに、本年4月4日−7日に、奈良で開催されるBiennial meeting of World Federation of Neurology Speciality Group on Aphasia, Dementia & Cognitive Disorder (WFN SG ADCD 2024)を共催します。
国内外から高次脳機能のエキスパートが集いますので脳科連の先生方も奮ってご参加ください (http://adcd2020nara.com)

次回のリレーエッセイは日本神経病理学会の柿田明美先生にバトンタッチされます。

【応用脳科学コンソーシアムの応用脳科学資格検定制度のお知らせ】
第1回の資格検定試験開催のお知らせ
https://www.can-neuro.org/release20231220/

【活動報告(12月~1月)】
12月28日(木)数学と脳科学の連携に向けたワークショップ

【事務局だより(主に会員学会事務局向け)】
・評議員の変更がございましたら、事務局までご連絡をお願いいたします。
・メールマガジン内容へのご意見やお問い合わせは、貴学会の事務局経由でお願いします。

(代理発送)
日本脳科学関連学会連合事務局
office@brainscience-union.jp

URL:http://www.brainscience-union.jp/
〒113-8657 東京大学農学部内
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