2013年6月22日

第8回脳科学将来構想委員会

【脳科学関連学会連合 第8回脳科学将来構想委員会 議事録】

日時

2013年6月22日(土曜日)16:00~17:00

場所

国立京都国際会館 RoomK

出席者

(名簿順、敬称略)
委員 : 岡部繁男、川人光男、小泉修一、本田学、笠井清登、岡本仁、尾崎紀夫、岡澤均、本間さと
事務局: 丸岡

議事

1.日本版Brain Initiativeについて
委員長より、現在文部科学省の脳科学委員会において検討が進められている「革新的技術による霊長類の神経回路機能全容解明」プロジェクトについて、その進行状況の説明があった。研究内容を検討するための作業部会が設置され、研究計画の概要を策定する事となった事、研究の意義、具体的な目標設定、目標を達成するための技術開発項目について作業部会で検討中であること、7月26日に開催予定の脳科学委員会で検討内容を踏まえた具体案の発表がされる予定であること、などが報告された。

以上の委員長からの説明を受けて、委員より以下の意見が出された。

  • 「革新的技術開発」については、戦略的にニーズから議論していくことが必要である。
  • 今回のプロジェクトでは技術開発と研究テーマの両方を一つにまとめて大型研究計画としているため、このプロジェクトに載っている研究の正当性だけが強調され、それ以外の研究テーマは否定されてしまう可能性がある。そのようにならず、多様な脳科学の研究テーマが尊重されるような配慮が必要である。
  • マーモセットを使って研究が進展する部分は確かにあると思うが、トランスジェニックの個体数などもマーモセットはマウスより限られるのが現状であり、行える実験には限りがある事を認識することも重要である。
  • このプロジェクトが10年後くらいに精神神経疾患に結びつくためには、精神神経疾患の方からこの大型研究に向かう方向性を出す必要もある。正常という場合にもその中にはいろいろなバリエーションがあり、疾患として見えてくる脳機能の障害はそのようなバリエーションを理解する上で必要である。正常と疾患の間を結ぶ研究が存在することで脳の正常機能の研究が加速すると考えられる。
  • マーモセットを打ち出していくと、マーモセットを使う量が多くなる。このような方針について倫理的な問題も検討する必要がある。
  • この大型研究の流れとは別に、日本版NIH構想の中で科学技術イノベーションの項目として精神疾患の予防診断治療が挙げられている。この問題についても脳科連として何かメッセージを出すべきではないか。
  • 日本版NIH、脳プロの今後の課題、日本版Brain Initiative構想など、現実的な動きについてのコメントを出すのではなく、脳科連としては、研究者が考えた場合の一番理想の研究体制とは何なのかを積極的にアピールするのが良い。

以上のコメントを受けて、委員会としての議論を今後も継続することとなった。

2.今後の予定
8月29日―9月1日に名古屋国際会議場において開催される包括脳ネットワーク・夏のワークショップの際に、本委員会を開催する予定である。

以上