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脳科連バイマンスリーメールマガジン 2021年11月号(No.9)
http://www.brainscience-union.jp
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日本脳科学関連学会連合会員学会及び評議員の皆さま

バイマンスリーメールマガジン2021年11月号(No.9)をお届けします。
お手数ですが、貴学会内の会員の皆さまへのメール配信をお願い致します。

❏今号のコンテンツ
・第5期脳科学将来構想委員会について:花川隆委員長
・脳科学オリンピック国内予選(令和3年度)報告:奥村哲(脳科学リテラシー委員)
・第8回リレーエッセイ:渡邉雅彦(日本解剖学会理事長)
・活動報告(10〜11月)
・広報委員会からのお知らせ
・事務局だより

【第5期脳科学将来構想委員会の活動報告】
脳科学将来構想委員会 委員長
花川 隆(京都大・院医・脳統合イメージング分野)

美しい紅葉の季節です。(少なくとも日本においては)COVID-19の感染状況が落ち着きを見せているこの時期、オンライン会議から解放されて久しぶりに学会等に出席されている先生方も多いのではないかと想像します。ただ、海外に目を向けると、行動制約の緩和に伴い感染者数の増加を見せている地域も少なくなく、何よりオミクロン株の発生のニュースを耳にすると、長期戦になりそうなこのウィルスとの戦いにおいて現在の状況が小康状態に過ぎないことを思い知らされます。どうやらCOVID-19の状況に適切に対応するためには、複数の時定数を示して複雑に変化する環境の変化を適切に予測し、適応的な行動をとる必要がありそうです。
ウィズコロナ時代への適応に限らず、このように複雑に変化する環境への適応を可能にするのが生物における脳・神経系の第一の役割です。環境への適応を科学する脳・神経科学研究の重要性は、ウィズコロナ時代においてもますます重要になると確信しています。
さて、私は2021年1月に第5期脳科学将来構想委員会の委員長に選任いただきました。
脳科学将来構想委員会は、脳科学研究の将来像や今後解決すべき課題群について議論し、学術の大型研究に関するマスタープランなどの提案取りまとめなどの大役を担っています。身に余る、重責であり、そろそろ次期マスタープラン提案の議論が始まりそうなタイミングであることから気を引き締めております。伊佐正代表を始めとする脳科学学会連合運営委員会のご指導を受けつつ、脳科学コミュニティの意見を適切に吸い上げつつ総花的にならないように、かつ短期の成果と長期的視点からの脳神経科学の発展を見据えた(複数の時定数を考慮した)取りまとめ作業を行なっていく必要があります。
30以上の脳科学関連学会の意見を集約することが求められるわけですが、取りまとめの時期だけでなく、脳科学学会連合と各学会が普段から率直な意見交換を行える場を設定しておくことが大事と以前から感じていました。そこで、2021年8月に、脳科学将来構想委員に加え、参加学会において将来構想委員会委員長相当のお仕事をされている先生方にもご参集(オンライン)いただき、拡大将来構想委員会を開催しました。
脳科学学会参加各学会や研究枠組み(AMED等)の現状と将来展望についてご紹介いただき、意見交換を行うことは、知る限り初めての試みであり、関連が深くても所属していない限り意外とと知らない各学会の理念や現状について理解を深めることができたと感じております。
このようなコミュニケーション基盤を基礎とし、学会の集合体としての脳科学学会連合の立ち位置を明確にしつつ、脳科学研究の推進のために各学会から生み出されるベクトルの総和の絶対値がなるだけ最大値を取れるように調整をさせていただく所存です。
また、このような意見取りまとめ機能に留まらず、より脳科学学会連合がより積極的に各学会と関わっていくための前向きな提案を複数いただいており、可能な限り対応していきたいと考えております。
当委員会に対する各学会のこれまでのご高配に感謝致しますとともに、第5期脳科学将来構想
委員会へのご支援を宜しくお願い申し上げます。

【脳科学オリンピック国内予選(令和3年度)報告】
脳科学リテラシー委員・脳科学オリンピック日本ナショナルコーディネーター
奥村哲(静岡理工科大学情報学部)

1.
2020年のブレインビー世界大会は、コロナ感染拡大防止の観点から、一回中断されたが、2021年の世界大会は、何度かの予定変更を経て、本年11月5-8日にCBT方式とZoomでのリアルタイム出題を併用する形でオンライン開催された。
2.
同世界大会の日本代表を選抜するための第9回日本大会は、前回まで全国6ケ所程度で開催していた地区予選大会に代えて、全国100会場以上の中から参加者自身が選んだ会場で分散して実施するCBT方式を採用し、7月下旬から8月上旬の2週間の期間に開催された。
全国で54名の高校生が参加した。その成績上位6名の予選大会入賞者を対象とした日本代表最終選抜大会を8月27-28日に入賞者の居住地域の2会場で分散対面開催し、日本代表を1名選抜した。
なお、日本代表1名を含む入賞者6名は下記の通りである。
1位:水口成寛、2位:ジャック奈緒美、3位:一高学仁、4位:阿部万里花,5位:小野航平、
6位:小野田澄音 (敬称略)
3.
2022年の世界大会については、現時点では開催方式は流動的であるが、2021年のオンライン開催が成功したことから、夏以降に何れかの方法で実施されると考えられる。そのため、日本大会も2022年の春に、全国100会場以上の中から参加者自身が選んだ会場で分散して実施するCBT方式で行うことを計画中である。
4.
今回CBT方式で実施された脳科学オリンピック世界大会は無事成功したが、コロナウィルスの感染拡大防止に目処がついた段階では、改めて対面、もしくは対面を含むハイブリッド方式で開催することを関係者は目指している。日本大会についても2023年以降は、対面再開が出来る場合には、従来の会場に新潟、北海道などの会場を加え、全国9~10箇所程度の会場で開催する計画である。いずれにせよ、当面は各地での参加者増や高校教員への宣伝など、イベント自体の定着
をはかることを重視し、早期に全国で数百名規模の大会とすることを目指す。
5.
日本脳科学関連学会連合への要望
今後も、脳科学オリンピック(ブレインビー)日本プログラムの充実のため、会員学会の皆様におかれましては、寄付金のご提供、さらには可能であれば、人的支援につき、ご協力の程よろしくお願いいたします。

【第8回リレーエッセイ】
渡邉雅彦(日本解剖学会理事長)
岡部繁男代表補佐から引き継いで、第9回目となるリレーエッセイは日本解剖学会が担当します。
 解剖学会は、1893年(明治26年)に創立されたわが国最古参の基礎医学系学会で、その歴史はドイツの解剖学会よりも古い。1995年には第100回日本解剖学会を東京大学において開催し、2021年には名古屋大学を開催校として第126回総会・全国学術集会をオンラインで開催しました。現在、2100余名の会員が所属し、分子形態学、肉眼解剖学、遺伝子レベルの人類学、発生学の進歩など解剖学の学術の発展や、医療専門職教育に貢献しています。
コロナ禍における対応を振り返ることで、解剖学会を紹介します。
 肉眼解剖学教育の実施には、実習のためのご遺体の確保や適正な処置・管理業務が伴います。2020年1月から始まった我が国における新型コロナ感染拡大に対し、同年3月「危険性のある感染症を伴うご遺体の取扱いに関する日本解剖学会の指針」を発出しました。これは、遺体処置に関わる教職員に対する感染防止のための4項目からなる指針で、労働安全衛生の専門家のご助言もいただきながらまとめました。ここで、「標準予防策(スタンダードプリコーション」、「個人用防護具」、「手指衛生」など、それまで耳にすることがなかった用語と概念を知ることとなりました。
 新学期の始まりとともに、大学の講義・実習をどのように進めるかの大問題が急浮上しました。各大学における実施の計画と結果に関する情報を収集し共有することを目的として、「COVID-19に対する各大学の対応と解剖学教育への影響に関する緊急調査」を4月と8月に実施しました。2021年1月に調査報告書としてまとめるとともに、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染予防に配慮した肉眼(系統、人体)解剖学実習の実施にかかる提言」と「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染予防に配慮した組織学(顕微解剖学)実習の実施にかかる提言」を作出しました。
これらの指針や提言による情報共有も一因となり、2021年5月の第4波、8月の第5波における感染爆発の中でも、大きな混乱や感染クラスターの発生もなく解剖学の教育研究を順調に進めることができました。
このように、解剖学会は、生体内の構造や形そのものを解析対象として、またそれを指標として生体内で起きている現象を追求するという形態学的研究の発展と、医学・歯学・獣医学の学科や医療専門職養成機関における解剖学教育の充実を両輪として活動しています。

【活動報告(10~11月)】
・第22回評議員会(メール審議)が開催されました。(10月11日)
・第28回運営委員会(メール審議)が開催されました。(10月28日)

【広報委員会 情報共有・情報交換についてのお願い】
9月のメールマガジンでもお願いいたしましたが再度お願いいたします。
長引くコロナ下での学生講義・実習など大変な日々をお過ごしのこととお察し申し上げます。
学術集会や学会活動においてはWeb開催やオンライン会議などが広まり、この1年余りの間で状況が一変しました。
ウイズコロナを覚悟してニューノーマルな学会活動を推進していく必要がありそうです。
つきましては、各学会におきましてどのような取り組みを実施されているか、また、今後どの
ような計画をされているかなど、ご寄稿いただければ大変に有り難く存じます。
メルマガに掲載させて頂き、皆様と情報共有しながら情報交換の場となれば幸いに存じます。
脳科連事務局 office@brainscience-union.jp にて随時、メールを受け付けます。
ご寄稿をお待ちしています。

【事務局だより(主に会員学会事務局向け)】
・評議員の変更がございましたら、随時、日本脳科学関連学会連合事務局までご連絡をお願いいたします。
・メールマガジン内容へのご意見やお問い合わせは、貴学会の事務局経由で以下までお願いします。

(代理発送)
日本脳科学関連学会連合事務局