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脳科連バイマンスリーメールマガジン 2025年7月号(No.31)
http://www.brainscience-union.jp
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日本脳科学関連学会連合会員学会・連携法人会員及び評議員の皆さま
❏今号のコンテンツ
・広報委員会委員長就任のご挨拶:黒澤 美枝子(日本自律神経学会理事長)
・第28回リレーエッセイ:宇川 義一(日本ヒト脳マッピング学会理事長)
・第33回脳の世紀シンポジウムのお知らせ:水澤 英洋(脳の世紀推進会議理事長)
・活動報告(6月~7月)
・事務局だより
【広報委員会委員長就任のご挨拶】
黒澤 美枝子(日本自律神経学会理事長)
本年4月より広報委員会委員長を務めさせて頂いている黒澤 美枝子(日本自律神経学会)です.微力ながら,脳科連の広報活動のお役に立ちたいと思っております.どうぞよろしくお願いいたします.広報委員会の委員は,中村 和弘先生(副委員長,日本生理学会),青木 茂樹先生(日本磁気共鳴医学会)、岩坪 威先生(日本認知症学会)、上田 陽一先生(日本神経内分泌学会)、三木 幸雄先生(日本神経放射線学会)にお引き受け頂きました.広報委員会の活動はまた,事務局の黒住 圭子様・吉田 恵理子様に大変お力添え頂いております.
本メールマガジンは2020年に開設され,前広報委員長の上田 陽一先生がその運用にずっと尽力されてこられました.上田先生にはこの4月からは広報委員として引き続き加わって頂き,いろいろとご教示頂いております.広報委員会の主な活動は,1.メールマガジンの発行(1,3,5,7,9,11月の隔月発行),2.「知ってなるほど!脳科学豆知識」への寄稿依頼と内容確認,3.脳科連パンフレットのリニューアル,4.ホームページの更新確認などです.メールマガジンには引き続き加盟学会のリレーエッセイを掲載してまいります.また,今年からは連携法人一般会員の方にご挨拶文をお願いしてまいります. 今後の課題としては,1.加盟学会ホームページへの脳科連のリンク掲載の依頼,2.ホームページのリニューアル(スマホやタブレットに対応するようにするなど)を考えております.このほか,広報委員会の活動として必要なことがございましたら,ご意見を賜れますと幸いです.
【第28回リレーエッセイ】
日本ヒト脳マッピング学会理事長 宇川 義一
日本臨床神経生理学会 理事長の今井 富裕先生よりバトンを受け取りました。玉川大学の松田 哲也先生と一緒に、日本ヒト脳マッピング学会(Japan Human Brain Mapping Society, 以下JHBM)の理事長を拝命しております福島県立医科大学・ヒト神経生理学講座の宇川 義一です。JHBMの成り立ち・歴史・今後のプランなどに関して紹介させていただきます。
ヒトの脳の生理学的機能を頭蓋骨の外から検討できる手法が脳波・誘発電位などしかなかった時に、脳の機能と構造を連動して非侵襲的に解析できる手法として機能的MRIが、1980年代後半の小川誠二先生のBold効果の発見をもとに開発されたことがきっかけとなり、1990年ごろより脳マッピングという単語が使われるようになりました。Human Brain Mapping という雑誌が1993年に発刊され現在まで継続されています。また、一時brain mapper という言葉もしばしば使用されておりました。その後、構造的なマッピングだけ研究していて充分なのかという疑問もあり、brain mapperというタームはあまり使用されなくなりました。しかし、さらに後になりヒトの脳機能を非侵襲的に解析する様々な手法が開発されて、これらを含めた多くの分野の研究がある意味ヒトの脳機能をマッピングとして解析しているとされ、brain mapping という言葉が現在では、当初と少し違ったニュアンスを含んで使用されています。例えば、機能局在を検討するだけでなく、機能的結合などを見ることもマッピングの一つと考えられるようになりました。脳神経外科手術の術中に脳機能局在を解析する研究も本分野に含まれてきていて、多くの分野の研究者が脳マッピングの名のもとに集合するようになっています。
日本では、日本ヒト脳機能マッピング学会が1999年に発足し、脳波(EEG)・脳磁図(MEG)・機能的MRI(fMRI)・ 光トポグラフィー(NIRS)・経頭蓋磁気刺激(TMS)等による脳マッピング法を研究技術の主体とし、脳神経外科・脳神経内科・精神科・臨床検査科・心理学・工学系の先生などが中心となり、毎年年次集会を開催してきて、本学会(JHBM)の基礎となった学会であります。一方、2017年に発足したヒト脳イメージング研究会は、機能的MRI・陽電子放出断層撮影(PET)・MEG・コネクトーム研究などを中心とした研究会で、主に基礎研究の分野の研究者が集合してできた比較的新しい団体であります。新しい解析手法では、数学・工学などの生物系以外の分野の研究者が重要な役割を演じ、それらの方々も研究会に加わっています。2024年4月にこの二つの団体が合併して、新たに日本ヒト脳マッピング学会(JHBM)としてスタートしました。近年ヒトの脳の構造の可視化・トランスミッターなどのイメージングを含めた機能の可視化・脳のコネクションの可視化など、様々な方法で脳マッピングを行う研究が発展してきていますので、多くの分野の研究者が一堂に会して研究を発展させることが、合併の主な目的であります。
今後の目標は、1.学会の活動を通じて、研究者・医療従事者・学生など多くの方が情報交換し、共同研究を実行し、脳科学の発展に寄与すること 2.国際的な連携を強化し、世界中の研究者と共に新たな知見を創出することなどです。その一つとして、短期的には2029年にOrganization for Human Brain
Mapping(OHBM)の学会を横浜で開催することになりましたので、日本の研究の国際化をさらに推し進めたいと考えております。
本学会(JHBM)の日本脳科学関連学会連合への参加は昨年ですので新参者ではありますが、貴連合の発展に少しでも貢献させていただきたいと考えております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
次回のリレーエッセイは日本ニューロリハビリテーション学の才藤 栄一 先生にバトンタッチされます。
【第33回脳の世紀シンポジウムのお知らせ】
脳の世紀推進会議理事長/ 日本脳科学関連学会連合元代表/ 日本神経学会元代表理事
水澤 英洋
NPO法人「脳の世紀推進会議」は現代社会における脳科学の重要性を広く認識していただくと共に将来を担う若者を脳科学に引き付けることを主な目的として、一般市民や高校生、大学生、院生、若手・中堅研究者及びマスコミや科学技術行政関係者などを主な対象として、1993年以来毎年脳の世紀シンポジウムを開催してきました。
本年は10月18日(土)10:00-16:20にオンラインにて開催します。メインテーマは近年進歩の著しい「脳とニューロテクノロジー」で特別講演は川人 光男 株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)所長です。続いて「脳を知る」、「脳を守る」、「脳を創る」、「脳を育む」の4分野から最新の研究成果について講演があります。「脳を知る」分野では佐々木 拓哉 東北大学大学院薬学研究科 教授、「脳を守る」分野では栁澤 琢史 大阪大学大学院医学系研究科 神経情報学 教授、
「脳を創る」分野では金井 良太 株式会社アラヤ 代表取締役、「脳を育む」分野では吉村 奈津江東京科学大学 情報理工学院 教授の講演です。
これらの講演後、講演者と司会者全員のパネルディスカッションをライブで行う予定です。また、脳の世紀推進会議が主催或いは共催している世界脳週間イベントや脳科学オリンピックに高校生時に参加した学生からのビディオレターの放映もあります。これらのプログラムの詳細は決まり次第脳の世紀推進会議のホームページ (https://www.braincentury.org) にアップされます。
登録開始は間もなくですが、日本脳科学関連学会連合からは協賛いただいておりますので、皆様におかれましては是非ご参加いただくとともに、関係の方々にも広く紹介していただければ幸いです。
【活動報告(6月~7月)】
・産学連携諮問委員会WG1委員会(6月8日)
・第48回日本神経科学大会 ランチョンセミナー(7月26日)(後援)
・第45回運営委員会(メール審議7月16日~7月29日)
【事務局だより(主に会員学会事務局向け)】
・評議員の変更がございましたら、事務局までご連絡をお願いいたします。
・メールマガジン内容へのご意見やお問い合わせは、貴学会の事務局経由でお願いします。
(代理発送)
日本脳科学関連学会連合事務局
office@brainscience-union.jp
URL:http://www.brainscience-union.jp/
〒113-8657 東京大学農学部内
TEL: 03-5842-2210 / FAX: 03-5842-2237