2021年7月6日

第25回運営委員会議事録を掲載しました。

第25回運営委員会議事録を掲載しました。

2021年7月6日

第25回運営委員会

【日本脳科学関連学会連合 第25回運営委員会 議事録】

日時

2021年6月19日(土)11~12時

場所

Web会議(Zoom)

参加者

(敬称略)
伊佐 正 (日本神経科学学会)
尾崎 紀夫(日本生物学的精神医学会)
斉藤 延人(日本脳神経外科学会)
高橋 良輔(日本神経学会)
池田 和隆(日本神経精神薬理学会)
谷内 一彦(日本薬理学会) 途中入室
小泉 修一(日本神経化学会)

(オブザーバー参加)
岡部 繁男(日本解剖学会・代表補佐)
松田 哲也(代表補佐)
事務局(吉川、孝子)

(欠席)
岩坪 威 (日本認知症学会)
山脇 成人(日本神経精神薬理学会・代表補佐)

議事

(1)事務局移転・委託について
事務局業務委託契約の4社分の個別の見積書及び比較表が確認された。
伊佐代表より、金額と開始時期を鑑みると第一候補として農学会が望ましいのではないか、ただし実績の確認ができないため、契約書上で最初は3ケ月に限定した内容にしたいとの説明がなされた。
斎藤副代表より比較表の注記に関する質問がなされ、伊佐代表より説明がなされた。
尾崎副代表より農学会が現状どこと契約しているかとの質問がなされた。
岡部代表補佐より日本農学会が学会の連合体であるかどうか、農学会が定款なども含めどのような団体であるかを調べておく必要がある旨の発言がなされた。
高橋委員より金額と開始時期を考慮すると農学会が適切ではないかとの発言がなされた。
尾崎副代表より農学会を知った経緯について質問があり、事務局より回答がなされた。
斎藤副代表より電話での情報収集の結果報告があり、事務処理能力は問題ないであろうことが確認された。
岡部代表補佐より公益財団法人であるため定款で書かれている内容に関して監査などで指摘されないように確認して欲しいとの依頼が伊佐代表になされ、事務局より改めて確認することとなった。
事務局委託に付随する課題として、伊佐代表より2021年度の予算案が紹介され、会費値上げ案について説明がなされた。
収入増計画に関連して、池田委員より産学連携諮問委員会、脳科連連携法人会員制度の準備状況について説明がなされた。
会費額として6万円の案が伊佐代表より提示され、学会は規模に関わらず平等に扱いたい旨の説明がなされた。また会費については持ち帰り議題、継続審議とし、持ち回りもしくは来年の評議員会で議決したい旨の説明がなされた。
池田委員より、会費は学会規模に応じてもよいのではないか、また規模に合わせた評議員数と会費を選択できるようにしてもよいのではないかと意見がなされた。
松田代表補佐より、「アカデミアの意見を集約して省庁等に提言する」という本連合の発足の目的を鑑みると、大きな学会の意向が強くなり、小さな学会の意向が反映されず意見を集約できなくなる恐れがあるという懸念が示された。本連合の会員学会であることのメリットを認識していただく、声を集約するために継続して会員になっていただく、という2点が重要であり、そのために何かしらの取り組みを行うことが重要であると意見がなされた。
会員数に応じた会費案について議論がなされた。尾崎副代表より会員数が多いものの、脳分野との関連の薄い会員が多いことが想定される学会もあるのではないかとの意見がなされた。高橋委員より、尾崎副代表の意見を踏まえて、今回の会費の値上げについて丁寧に説明し、一律値上げの理解を求めるのが良いのではないかとの意見がなされた。岡部代表補佐より、意見集約という観点から、小さな団体を最も考慮すべきであり、学会の大きさを序列して出すことは良い効果を生まないのではないかとの意見がなされた。また、費用の説明だけではなく、会員学会であることのメリットを十分に説明すべきであると意見がなされた。
伊佐代表より、選択肢を出して議論するのではなく、まずは会費の一律値上げについて議論し、持ち帰っていただく方向性について確認がなされた。

(2)会計監査委員について
運営委員会に付託された場合の委員案について説明がなされた。

以 上

2021年6月28日

会員学会年次大会情報を更新しました。

会員学会年次大会情報を更新しました。

2021年6月14日

第24回運営委員会議事録を掲載しました。

第24回運営委員会議事録を掲載しました。

2021年6月14日

第24回運営委員会

【日本脳科学関連学会連合 第24回運営委員会(拡大運営委員会) 議事録】

日時

2021年5月16日(日)15:00~17:20

場所

Web会議(Zoom)

参加者

(敬称略)
伊佐 正 (日本神経科学学会)
尾崎 紀夫(日本生物学的精神医学会)
斉藤 延人(日本脳神経外科学会)
高橋 良輔(日本神経学会)
池田 和隆(日本神経精神薬理学会)
小泉 修一(日本神経化学会)
岩坪 威 (日本認知症学会)
花川 隆 (脳科学将来構想委員会・委員長)
上田 陽一(広報委員会・委員長)
加藤 総夫(選挙管理委員会・委員長)
山脇 成人(代表補佐・日本神経精神薬理学会)途中入室
岡部 繁男(代表補佐・日本解剖学会)
松田 哲也(代表補佐)
奥村 哲 (脳科学リテラシー委員)

(欠席)
谷内 一彦(日本薬理学会)

事務局:理化学研究所 脳神経科学研究センター 吉川、孝子
オブザーバー:京都大学 武井

開会挨拶

伊佐代表より開会挨拶および理化学研究所・吉川センター長室長の紹介がなされた。
第21回運営委員会議事録に関して、広報体制の強化、事務局体制の安定化、脳科学オリンピックの安定化、選挙、将来構想委員会、広報、賛助会員について説明がなされた。第22回運営委員会議事録に関して、将来構想委員、脳科学オリンピックの参加費、評議員会の開催形式、賛助会員について説明がなされた。
第23回運営委員会議事録に関して、京大の霊長類研究所の共同利用・共同研究拠点の継続申請については最終的には申請がなされなかったこと、脳科学オリンピック寄附金会計業務委託について説明がなされた。

議事

1. 事務局移転・委託について
伊佐代表より、理化学研究所・脳神経科学研究センターが本連合の事務局を引き受けることがより困難となっている現状について説明がなされた。さらに業務委託候補先として、今年度より脳の世紀推進会議の事務局を引き受けているアクティブネット社とオンライン面談し、見積書を取得した旨の説明がなされた。概算見積額は、本連合の収入が93万円であるのに対し、事務局業務委託費用に加えた本連合の運営費用を鑑みると、赤字となる。このため黒字運営のために会費の値上げが必要となる旨の説明がなされた。
斉藤副代表より、外注であれば見積額はリーゾナブルであるとの意見がなされた。外注以外の選択肢として、特定の研究室の秘書やパートタイマーに依頼することも提案がなされた。これに対して、伊佐代表より後者の可能性については事務局の継続性を併せて考える必要があるとの意見がなされた。
池田委員より、理化学研究所と同様に脳神経分野で日本を率いる組織としては国立精神・神経医療研究センター(NCNP)と生理学研究所があるが、これらの組織で引き受けてもらう可能性についての質問がなされた。また、文科省の支援事業の活動の一環に入れてもらう可能性についての質問がなされた。これに対して、伊佐代表より支援事業は時限のプロジェクトでサイエンスオリエンティドであるため、このような学会連合を支援する資金の獲得が容易ではないのではないかとの意見がなされた。岩坪委員よりNCNPは伝統的な機関で機動的な対応が難しく、すぐに本件について対応することは難しいとの意見がなされた。これに対して、伊佐代表よりこれらの研究機関においては業務を引き受ける上での理由付けが難しいであろう旨の補足説明がなされた。
尾崎副代表より他学会での事務局の業務委託の見積もりと比較してもこの見積額がリーゾナブルであることを確認した旨の発言がなされた。
会費の値上げの必要性について、尾崎副代表より本連合設立当初の価格設定の根拠について質問がなされた。これに対して、岡部代表補佐より生物科学学会連合(生科連)を参考にし、ミニマルエッセンスに基づいて特に基礎系の学会で負担に感じない金額で設定された旨が説明された。小泉委員より外部委託に賛成であるが、現在の倍以上の金額になるため、経費節減していることを示した上で新価格を提示するとより理解が得られるのではないかとの提案があった。尾崎副代表からも会場費を節減するなど経費節減に関する姿勢を見せる必要があるとの意見がなされた。これに対して、伊佐代表より評議員会がオンラインのみで良いかどうかについては議論の余地がある旨の発言がなされた。山脇代表補佐より、オフラインでのコミュニケーションの必要性からもアフターコロナではハイブリッド開催になるのではないかとの意見がなされた。高橋委員より、本来本連合として事務局を独立して持っているべきで、理化学研究所の特別なご厚意で恩恵があったことを主に評議員に説明するのが良いのではないかとの意見がなされた。また会費の値上げは一度に7万円にする方が良いのではないかとの意見がなされた。
池田委員より生科連における会費と事務局体制についての質問がなされた。これに対して、岡部代表補佐より生科連の会費の説明があり、また日本解剖学会については脳神経分野に関連しない会員への本連合に加盟し続ける説明が難しくなる可能性がある旨の意見がなされた。尾崎副代表より精神神経学会においても他とのバランスを鑑みて会費の値上げに対する疑義が呈される可能性がある旨の発言がなされた。加藤選挙管理委員長より日本医学会連合の会費の説明がなされた。伊佐代表より評議員会で会費は6万円で提案し、経営努力をする旨の説明がなされた。また、相見積もりも取得する旨の説明がなされた。

2. 日本医学会連合との関係について
尾崎副代表より以下の説明がなされた。
医学会連合は学術会議との連携が緊密化しており、学術会議よりも即応性が高くCOVID-19拡大時の対応も迅速であった。また門田会長は健康・医療戦略推進本部、ゲノム医療協議会のメンバーでもあるなど、要職に就いている。医学会連合には脳神経分野の役員がいない状況である。
斉藤副代表より医学会連合は臨床ベースであるため役員候補としては臨床系の先生が相応しいこと、役員の選出についてルールがあるのではないかということ、どのような切口でアクセスするのかを鑑みる必要がある旨、説明がなされた。
高橋委員より医学会連合の効用についての質問がなされた。これに対し、尾崎副代表よりゲノム医療に関しては関連があるかもしれない旨の説明がなされた。ただ、本年は既に次期の役員推薦の時期を過ぎていることが判明し、本件は継続審議となった。

3. 脳科学オリンピックの運営について
奥村委員より以下の説明がなされた。
2021年の脳科学オリンピックはCBTでのテストを行い、ファイナルのみ対面で行う
予定である。CBTについては見積もり比較を行った。7/23-8/7の日程が予選となる。
CBTについては従来より大幅に費用がかかるため、高校生の自己負担も発生する。
今後webは脳の世紀推進会議から本連合に徐々に移行する予定である。2022年以降の開催形式については大会後検討したい。
松田代表補佐より、生物学オリンピックのように協賛金を募る可能性について質問がなされた。これに対して、奥村委員より今年は大会運営に専念し、来年以降事務局体制も含めて協賛金を募ることを検討したいとの回答がなされた。
山脇代表補佐より協賛金を募るにあたってミッションを明確にし、SDGsなど企業が参加しやすいメッセージを発信するなど工夫が必要ではないかとの発言がなされた。

4. 産学連携委員会の設置について
池田委員より、以下の説明がなされた。
各学会との連携に加えて本連合との連携のメリットを明確にする必要がある。
薬効評価などについてはアカデミアと連携してよりエビデンスに基づいた形にしていきたいという企業ニーズはある。昨今の産学連携を重視する学問の方向性に基づいた産学連携のグラントの作成、企業でのオープンサイエンスの活動の支援など脳科連が果たすべき役割はあるが、COIの検討なども同時に必要である。
尾崎副代表より、精神医学関連学会での動向の説明がなされた。市民、学生への市民活動への支援を製薬企業は行っている旨の説明がなされた。
松田代表補佐より、Win-winの関係の構築に向けて考える必要はあるが、産学連携の可能性がある旨の発言がなされた。
伊佐代表より、本委員会の発足のためのWGのメンバー候補として、池田委員、尾崎副代表、松田代表補佐、高橋委員、および斉藤副代表の推薦する先生が指名され、評議員会に向けて進展させることとなった。

5. 運営規約について
加藤選挙管理委員長より、現行の運営委員選出等における不十分な点について池田委員より指摘があり、代表へ答申がなされた旨の説明がなされた。伊佐代表よりオンサイトべースでの規約がデジタル選挙に対応できていない現況について補足説明がなされた。運営委員会でイニシアチブを取り、選挙管理委員と協議しながら規約改正案を作成することについて、伊佐代表より説明がなされた。

6. 6月30日評議員会の議題について
伊佐代表より医学会連合の議題を除いて本運営委員会での議題を評議員会での議題とする予定である旨が説明された。

7. 将来構想委員会の活動について
花川将来構想委員長より以下の説明がなされた。
現状はマスタープランが下りてきていないので、特段新しい活動はしておらず、代わりに会員学会における将来構想委員相当の委員会の有無のアンケートを行っており、会員学会とのパイプを強化しつつ、マスタープランの作成のためにそれらの委員との会議を夏頃予定している。
松田代表補佐より、文科省の動向について以下の補足説明がなされた。
今後はライフサイエンス委員会の下の脳科学作業部会として立ち上がり、この中で議論や報告がなされる。4月から9年間の脳とこころの研究推進プログラムが立ち上がっており、革新脳、国際脳、公募中の2つのプロジェクトが傘下に入ることになる。

8. 日本学術会議の協力団体について
伊佐代表より以下の説明がなされた。
メリットとしては情報が得られる、後援などがある。デメリットはほぼない。費用がかからない。
尾崎副代表より学術会議としては即応性を高め、国民との対話を行うために学協会と連携していく方向性であり、コミットする価値がある旨の発言がなされた。
岡部代表補佐より医学会連合及び生科連との連携についての説明がなされた。

9. 脳科連ジャーナルについて
池田委員より以下の説明がなされた。
日本でIFの高いジャーナルがないことが問題である。個別の学会ではIFの高いジャーナルを作ることが難しいが、本連合であればIF10以上のジャーナルの立ち上げも可能ではないか。
伊佐代表より、いくつかの学会のジャーナルを統合することを評議員会で提案する案が示され、これに対して、池田委員より伝統のある学会同士のジャーナルの統合の難しさ、既存ジャーナルのIFを上げることの難しさについて説明がなされた。
岡部代表補佐より、日本で脳科学のジャーナルを立ち上げる際に、IFに捕らわれない「よい雑誌」の定義について議論する必要性があるのではないかと意見がなされた。
本議題については、将来構想委員会において議論していくこととなった。

10. 脳科学エデュケーター制度について
花川将来構想委員長より質問があり、池田委員より制度の説明がなされた。
本議題については、将来構想委員会において議論していくこととなった。

11. コロナ禍でのメンタルヘルスについて
山脇代表補佐よりコロナ禍でのメンタルヘルスの提言の背景について説明がなされた。
昨年緊急提言したコロナ禍でのメンタルヘルスのフォローアップは学術会議で行うべきか、本連合で行うべきかの提起が伊佐代表よりなされた。
尾崎副代表より、学術会議ではワクチンも含めた製薬開発の在り方、臨床研究の在り方、臨床情報の集約化、臨床研究人材の育成、が議論されており、この流れを活かすことについて意見がなされた。

12. 広報に関連して
上田広報委員長より以下の報告がなされた。
バイマンスリーのメールマガジン、リレーエッセイ、豆知識、サイトポリシーの制定についての説明がなされた。

以上

2021年6月3日

『知ってなるほど!脳科学豆知識』第22回「磁気で脳の回路を調整する?」を掲載しました。

『知ってなるほど!脳科学豆知識』第22回「磁気で脳の回路を調整する?」を掲載しました。

2021年6月3日

特別寄稿 NPO法人「脳の世紀推進会議」の紹介と入会のお願い

アドボカシーというカタカナ語はご存知でしょうか?アウトリーチというカタカナ語は公的研究費をもらう際に研究の意義を社会に周知するための講演会などを課される場合があり、良くご存知と思います。アウトリーチはこのように一般社会に向けて科学研究の意義や成果を知らせることを主な目的としています。例えば、日本学術振興会(JSPS)の科研費ハンドブックには「科研費は、国民から徴収された税金等でまかなわれるものであり、研究者は、その実績や成果を社会・国民にできるだけ分かりやすく説明することが求められています。」(同ハンドブック22頁)とあり、また日本学術振興会特別研究員にもアウトリーチ活動が奨励されています(日本学術振興会特別研究員遵守事項および諸手続きの手引3頁)。
一方、アドボカシーは科学技術政策の立案や作成に関与する行政官、政治家やマスメディアなどを対象として、科学研究の重要性を認知していただくことを主な目的としています。最近、日本でアメリカ科学振興協会(American Association for the Advancement of Science, AAAS)に範を取り日本科学振興協会(仮称、Japanese Association for the Advancement of Science, JAAS)を立ち上げることが提案されました。AAASは広範な活動を展開していますが、アウトリーチやアドボカシーもその活動の重要な部分のようです。ただ、AAASや上述のJASS(仮称)も科学全般をカバーしていて脳科学に特化しているわけではありません。脳科学は、ご存知のように基礎科学、臨床科学、或いは心理学から工学まで広い分野をカバーする学際的な研究分野ですので、後述のように特にアドボカシー活動が必要とされています。

ボトムアップとトップダウン研究費
ご存知のように公的な研究費には研究者の自由な発想に基づいて申請或いは提案できるボトムアップ型と何らかのテーマや分野が指定されて公募されるトップダウン型の研究費があります。ボトムアップ型研究費の代表例は日本学術振興会が主に担当している科学研究費補助金(科研費)です。科研費は科学の全ての分野をカバーすると謳っていますが、採択数は分野によってかなり異なります。ただ、科研費採択の原則の一つは各研究分野で採択率をほぼ一定にするということのようですので、申請数の多い分野の採択が多くなるという極めて単純な原則で運営されているようです。例えば、脳科学の採択数を多くするためには申請数を多くすれば良いということになります。一方、科学技術振興機構(JST)や日本医療研究開発機構(AMED)からの研究費公募は分野や場合によっては目的が指定されていて大型の研究費は欲しいが応募できないとほぞを嚙むことがあります。何故、その特定の分野に限られたのか疑問に思った方が多いのではと思います。

トップダウン型研究テーマの設定は他の研究分野と競合
トップダウン研究費の分野やテーマ設定はもちろん文科省のような役所がトップダウンで上意下達で決めている訳ではないようです。役所にある種々の委員会の意見や時代の社会的要請をもとに戦略的重点研究分野が決められそれをもとにJSTやAMEDでしかるべき委員会や研究者からの意見聴取を経て決められているようです。問題はこの過程で分野間の激しい競争があるという現実です。例えば、現在のコロナ禍の時代ではウィルス感染症関係の研究は優先順位が高いことになります。「はやぶさプロジェクト」のように巷でも有名な宇宙開発研究分野も優先度が高くなるのかもしれません。かっての「選択と集中」という掛け声は現在力を失っていると思いますが、すべての分野に予算をつけることができないことは明白で分野間の競合と選抜が必須ということになります。この研究分野間の競争を勝ち抜いて脳研究に大きなプロジェクトをもってくるにはアドボカシー活動が極めて重要ということになります。

優れた若手の獲得も他の分野と競合
研究分野間の競合はトップダウンの大型研究費の取り合いに限った話ではありません。例えば、将来その研究分野で活躍するような有望な高校生や大学生を如何に引き込むかといった若手人材の取り合いがあります。ご存知のように、いかに優秀な高校生を引きこむかに関しては大学間にも競争があります。そのため大学によっては出前授業などを行っているところもあると聞いています。この若手を早い時期から引き付ける重要性は国際的にも認知され、脳研究分野では高校生などの若者を主な対象として公開講演会、病院や研究所の公開、体験学習などの行事を展開する「脳週間」が1992年に 米国で開始されました。それに呼応して、1997 年から欧州においても「脳週間」が実施され、2000 年からは、国際脳研究機構やユネスコの後援を受け、アジア、南米、アフリカの各国にも呼びかけ「世界脳週間」と銘打って世界的な行事になりました。我が国もこの「世界脳週間」の意義に賛同し、「脳の世紀推進会議」が主体となり、高校生を主な対象として 2000 年より参画しています。
また、これもご存知かと思いますが、文科省がJSTを通じて支援を行っている国際科学オリンピックと称する行事があります。この科学オリンピックは優秀な高校生を科学に引き付けることを主な目的として開催されています。現在、文科省が公式に財政支援しているものには、数学オリンピック、物理学オリンピック、生物学オリンピック等々がありますが、脳科学に関しては、残念ながら文科省から公式に財政支援は受けていません(2019年より文科省後援という名目的支援は受けていますが)。一方、1999年に米国で始まった脳科学に関するクイズ大会“ブレインビー”を母体とした活動が欧州諸国を巻き込んで国際ブレインビーとして発展してきました。日本でも数年前よりこの国際ブレインビーを脳科学オリンピックと呼び変えて、日本神経科学学会ブレインビー委員会が実務を担い、日本脳科学関連学会連合が主催、脳の世紀推進会議が共催という形で、優秀な高校生を日本代表として世界大会に送り出すという活動を推進してきました。研究室を運営しているPIの方には自明のことかも知れませんが優秀な院生やポスドクの獲得は極めて重要で、そのためには高校生の時から脳科学に興味を持たせる必要があります。

脳科学に特化したアドボカシー活動の重要性と「脳の世紀推進会議」の役割
我が国の脳科学研究のさらなる発展のためには、具体的には大型研究費の獲得や優秀な若手人材を脳科学研究に引き付けるためには、上述のように脳科学に特化したアウトリーチやアドボカシー活動は極めて重要です。ただ、個々の現役研究者にこのような活動を強いることは研究の妨げになるかも知れません。このような活動は現役研究者とその周囲にいる事務的業務をサポートする人達を加えた組織が担う方が良いと思われます。このような認識のもとに、「脳の世紀推進会議」は、1993年に脳研究関連の文部省(当時)重点領域研究の代表者が集まり、任意団体「脳の世紀推進会議」としてスタートしました。2003年には特定非営利活動法人(NPO)となり、現在まで、脳の世紀シンポジウムの開催、全国各地での世界脳週間講演会の開催、脳科学オリンピックの支援などの活動を行ってきました。

「脳の世紀推進会議」への参加を
この度、脳の世紀推進会議は事務局を移転するとともに新しい理事会体制を構築し、更なる発展を目指すことに致しました。日本の脳研究の推進のためにぜひこの機会に脳の世紀推進会議にご参加いただきたいと思います。入会の申込フォームは当法人ホームページhttp://www.braincentury.orgにあります。脳研究者の皆様は正会員として入会し、脳の世紀シンポジウムにおける講演者の推薦や総会における助言などで脳の世紀の運動をさらに盛り上げていただきたいと願っています。なお、正会員は脳の世紀シンポジウムへの出席登録やその記録のオンデマンド配信は優先的に受けることができますことを付言致します。

特定非営利活動法人(NPO)「脳の世紀推進会議」理事長 
日本神経科学学会名誉会員 津本忠治

2021年6月1日

メールマガジン5月号を掲載しました。

メールマガジン5月号を掲載しました。

2021年5月12日

IBRO-APRC Webinar Horizonsのお知らせ

国際脳研究機構アジアオセアニア地区委員会(IBRO-APRC)とアジアオセアニア神経科学連合(FAONS)は連携して、IBROの2nd Global Neuroscience Horizons Webinarを共催する運びとなりました。

今回のテーマは「 Translational neuroscience and novel therapeutics can yield new treatments for neurodegenerative diseases across the Asia/Pacific region 」で、日本からは柚崎通介先生(慶應大学)にご登壇いただきます。

日時は2021年5月31日(月)日本時間15時-18時半
参加希望の方は以下から参加登録をしてください。

Webpage
Here is the principal link to share for information on the webinar: https://ibro.org/horizons-webinar-2/

今後IBRO-APRCとFAONSでは、このようなアジア地域の研究者に向けたWebinarを定期的に行っていく予定です。
是非ともご参加ください。

日本脳科学関連学会連合代表
IBRO-APRC委員、FAONS Treasurer
伊佐 正

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IBRO is excited to announce our 2nd Global Neuroscience Horizons Webinar on 31 May 2021 with Profs. Jafri Malin Abdullah, Cliff Abraham, Julie Bernhardt, Michisuke Yuzaki, Amy Fu, & Yong Shen.

The webinar will focus on how translational neuroscience and novel therapeutics can yield new treatments for neurodegenerative diseases across the Asia/Pacific region and will be chaired by Prof. Pike See Cheah (chair, IBRO-APRC)& Dr. Lin Kooi Ong.

Registration is free and open to all!
https://ibro.org/horizons-webinar-2/

1.Webpage
Here is the principal link to share for information on the webinar: https://ibro.org/horizons-webinar-2/

2.Social media
You may share IBRO’s posts on social media platforms:

– On Twitter: https://twitter.com/ibroSecretariat/status/1390645881821618176?s=08
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2021年4月28日

日本学術会議のより良い役割発揮に向けて

2021年4月22日に、日本学術会議より「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて 」
の声明が発出されました。
(日本学術会議のリンク)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-25-s182-2.pdf

特に本連合とも関係致しますのは21-22ページにラインマークを引きました点、下記かと思います。
(出展:日本学術会議、「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて 」を加工)
日本学術会議のより良い役割発揮に向けて

(1) 研究者コミュニティとの対話
関係する学協会との対話・交流 を活性化

(2) 国民との対話と科学の成果を還元する情報発信力強化・広報部署強化
国民に分かりやすく科学 の成果を伝えるだけでなく、国民の思いやニーズ・関心を把握するため、双方向 のコミュニケーションの充実

(3) 科学的助言をめぐる関係者・関係機関との対話
政府、産業界、各種
専門職団体等との意見交換を日本学術会議全体、各部、各委員会単位で重層的に実施